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コラム
2026/03/08
重症スギ花粉症に対する注射薬(商品名ゾレア、一般名オマリズマブ)について
お問い合わせが増えている、重症スギ花粉症に対する注射薬(商品名ソレア、一般名オマリズマブ)について解説します。
2月から4月にくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなど、スギ花粉症に悩まされる方が多くいらっしゃいます。中には症状が非常に強く、仕事・勉強に集中できなかったり、夜間熟睡できないなど、日常生活に支障をきたす「重症花粉症」の方もみえます。
こうした重症スギ花粉症に対して注目されている治療が「ゾレア(一般名:オマリズマブ)」という注射薬です。従来の花粉症治療とは作用の仕組みが大きく異なる新しいタイプの治療薬ですが、対象となる患者様が限定されるなど、あらかじめ知って頂きたいことがあるため解説します。
花粉症はなぜ起こるのか
花粉症は「アレルギー反応」によって生じます。鼻や口から入ってきたスギ花粉を免疫細胞が異物と認識すると、スギ花粉に対するIgEという抗体が作られ、IgEが肥満細胞などの表面に結合して準備段階となります。更にスギ花粉が入ってきてIgEと反応すると肥満細胞からヒスタミンなどのアレルギー反応物質を放出します。これが
- くしゃみ
- 鼻水
- 鼻づまり
- 目のかゆみ
といった症状を引き起こします。花粉症の内服薬のほとんどは、放出されたヒスタミンの作用をブロックするお薬です。
ゾレアの作用
ゾレアはIgEそのものに結合してその後のアレルギー反応を抑える薬です。
つまり、内服薬に比べアレルギー反応の「上流」をブロックすることで、ヒスタミン以外のアレルギー物質も抑え、花粉症の症状を根本から抑える治療です。そのため、通常の薬では症状が十分に抑えられない重症の花粉症に対して効果があるとされています。
どのような患者さんが対象になるのか
ゾレアはとても有効な治療ですが、誰でも使用できる薬ではなく、健康保険が適応されるためには一定の条件があります。
主な適応条件は以下の通りです。
- スギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎
- 血液検査でスギ特異的IgEが陽性
- 内服、点鼻、点眼の薬物治療を行っても症状が強い
- 体重と総IgE値が規定範囲内
- 12歳以上が対象
治療の可否と使用量は血液検査の結果などを確認して判断します。
治療方法
ゾレアは皮下注射で投与します。皮下注射とはインフルエンザワクチンと同様の注射方法ですが、薬液量がワクチンと比べて多いため注射時の痛みがあります。
体重と血液中のIgE値によって投与量が決まり、2週間または4週間ごとに注射を行います。通常、1シーズンに1〜2回の注射を行うことで症状の軽減が期待できます。
ゾレア以外の注射薬について
ゾレア以外の注射薬についてもお問い合わせ頂くことがあります。ゾレア登場以前はステロイド薬の筋肉注射が行われていましたが、現在は以下の問題点から当院では行なっておりません。また、日本アレルギー学会などもステロイド薬の筋肉注射は推奨していません。
- 骨粗鬆症、大腿骨頸部骨折
- 血糖上昇(糖尿病発病、悪化)
- 血圧上昇
- 肺炎など感染症リスク増加
- 不眠などの精神症状
- 体重増加、むくみ
- 注射部位の筋萎縮
ゾレアの注意点
ゾレアは重症花粉症に対して有効な治療ですが、注意点して頂きたい点があります。
- 花粉症としてはスギ花粉症のみが保険適応(血液検査での確認が必要)
- 薬価が高い
- IgE値が高すぎると適応外となる
- 注射時の痛みがある
- 多い人は4本注射する
- 注射後に体のほてり、頭痛、倦怠感、発熱が出ることがある
- すべての方に効果があるわけではない
また、非常にまれですがアナフィラキシーなどの副作用が報告されているため、注射後に15〜30分ほどクリニック内で待機していただいています。
まとめ
スギ花粉症の治療は
- 内服薬
- 点鼻薬
- 点眼薬
- 舌下免疫療法
が主体ですが、これらの治療でも症状が残る方には抗体医薬であるゾレアという治療選択肢があります。
特に
- 毎年症状が非常に強い
- 従来の治療で十分な効果がない
- 鼻づまり、鼻水のために仕事・勉強・睡眠に支障がある
といった方は是非とも検討して頂きたい治療です。
当院ではゾレア治療の適応について相談を受けておりますので、お気軽にご相談ください。