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コラム
2026/01/03
呼気NO検査(FeNO)について
本コラムでは当院でも行うことが多く、喘息の診断・管理においてとても重要な呼吸一酸化窒素(FeNO)検査について解説します。

呼吸NO検査(FeNO)とは?
喘息や咳が長引く症状の診断・治療において、近年注目されている検査が呼吸一酸化窒素検査(FeNO)です。
FeNO検査は、吐いた息の中に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測定する検査で、気管支で生じているアレルギー反応の程度を調べることができます。
NOを測定する意義
咳喘息や気管支喘息では、多くの場合で気道(気管支)に好酸球性炎症と呼ばれるアレルギー反応が生じており、これが咳や喘鳴、呼吸困難など症状の原因となっています。好酸球性炎症により気管支の細胞からNOが多く産生され、呼気中のNO濃度が高くなります。FeNO検査は呼気中のNO濃度を測定し、気道で生じるアレルギーの程度を数値で評価できる検査です。
検査の方法
検査方法は単純で、機械をくわえて深く息を吸った後、そのまま一定の強さで10秒間息を吹き込むだけです。咳の多い方の場合、一定の強さで息を吐き続けることが難しく感じることもありますが、やり直しができるので小学生以上であれば小児でも、お年をとった方でもほとんどの場合で安全に測定可能です。痛みはありませんし、検査時間は数分程度で当日結果を説明できます。
FeNO検査でわかること
FeNOでは数値が大きいほど気道で生じているアレルギーの状態が悪いことを示します。日本人を対象とした研究では、正常者と喘息患者を区別するカットオフ値として22ppb(感度91%、特異度84%)、喘息のない人の上限値が37ppbでした。この結果から日本呼吸器学会では、22ppb以上で喘息の可能性が高く、35ppb以上で喘息と診断することが妥当としています。
FeNO検査により、次のようなことが分かります。
- 喘息・咳喘息の可能性が高いかどうか
- 現在、気道に好酸球性炎症(アレルギー)が残っているか
- 治療が十分かどうかの確認
特に、長引く咳の原因が喘息かどうか判断する際や、治療効果の確認に大きな意味があります。
他の検査との違い
呼吸機能検査(スパイロメトリー)は「気道(空気の通り道)の狭さ」を調べる検査ですが、FeNO検査はアレルギーの程度を評価できます。そのため、症状が軽い場合や、呼吸機能がまだ正常な段階でも、早期の喘息を見つける手がかりになります。
同じくアレルギーを調べる検査として血液検査があります。FeNO検査ではどの物質が原因でアレルギーを生じているのかわかりませんが、血液検査で原因物質を推定することが可能です。しかし、血液検査の結果は必ずしも気管支由来を表しているとは限らず、鼻など他臓器由来の可能性もあります。また、血液検査でわかるアレルギーの程度と喘息の重症度は関連しないことも多いのです。FeNO検査は気管支で生じているアレルギーの程度を直接把握できる点で優れています。
FeNO検査の限界
喘息の気管支では好酸球性炎症を生じている事が多いのですが、違う機序が主体の患者様も存在します。つまり、FeNO検査が正常な喘息患者様もみえます。また、咳喘息と呼ばれる状態では病変の主座が末梢にあるとされ、FeNO検査が正常な場合も多くみられます。咳喘息の診断については、当院ではモストグラフも併用して行うようにしています。こちらのコラムも参考にして下さい。
まとめ
呼吸NO検査(FeNO)は、気管支のアレルギーを数値で把握できる、体にやさしい検査です。
症状だけでは分かりにくい咳や呼吸困難の原因を明らかにし、治療の有効性や現在の気道の状態を把握できるため、一人ひとりに合った治療につなげることができる大切な検査です。
参考文献
Matsunaga, et al. Allergol Int 2011;60:331
Matsunaga, et al. Allergol Int 2010;59:363
日本呼吸器学会 呼気一酸化窒素測定ハンドブック